彼方より来たりて彼方へ
1999年作 (65×50cm)
2000年 80回朱葉展
「アートマインド Vol.111」掲載
ペルー南部にあるアレキパを夜のうちに起ち、満天の星を仰ぎながらアンデス山脈を登り、朝8時頃海抜3300mくらいのコルカ峡谷に到着し、コンドルへの表敬訪問を果たしました。
朝日によって大地が温められ上昇気流が発生すると、その気流に乗って峡谷の下の方からコンドルがゆっくりと舞い上がって来ます。蛇行する深い谷に沿って切り立った岸壁の間を飛翔しますので、時々朝日に当たってキラリと輝きます。初めは鳶か鷹くらいの大きさにしか見えませんでしたが、徐々に大きくなり、頭上を通り過ぎる時には3mくらいの巨大な姿で思わずひやりとしました。さらに上空へと舞い上がり、やがて遠く離れた海岸へと食事を取りに飛び去って行きました。
悠然と滑空するコンドルを見ていると、コンドルはアンデス原住民の魂の象徴のように思え、インカ帝国時代の綴織りの模様と、遺跡には必ず見られる台形の出入り口の中にコンドルを配し、ペルーの方々に私なりのエールを送りました。